『天国と地獄~サイコな2人~』最終回感想(最終回の河原の意図・続編など考察)
『天国と地獄~サイコな2人~』
最終回を見てきました。
視聴率20%おめでとうございます!
最終話では事件を巡るいろんな登場人物の心情に迫っていて、まさに入れ替わりエンターテインメントの締めくくりとして作られた最終話だったなあ、と感じます。
(9話で真相が全て出された感があったので、事件解明としての新しい情報は出ないと踏んでおりましたが、本当に新しい情報ありませんでしたね(`・ω・´))
例によって、見たいところがあればそこだけ見られるように目次から飛べるようにしておきますね。
◆最終話全部の感想
・河原が望月を確保したシーンから開始。
このシーンにおける日高の表情、凄いですね。
考えを巡らせて何かを決意した雰囲気が凄い。
・師匠の元に居る陸がSDカードを発見し、河原と接触。河原は「東」の関係者として色々と話を聞く…という流れ。
視聴者である私たちの目線からすると陸は滅茶苦茶半端ないくらい望月さんの関係者なんですけど、河原さんは何も知らないんですよね。この構造は本当によく作られていて、とても面白くて好きです。
・望月尋問シーン。
望月が準備していたストーリー通りに話を進めている流れ。
これは望月の準備も巧いよなあ。
先んじて話したと思われる八巻えらい。お手柄。チワワ可愛い。
八巻、細かいところはポンコツだけど入れ替わりに勘付いたりちゃんと包囲網突破して囮として正しく動けていたり、しっかりしています。彼も捜査一課にいるだけありますよね。
・陸と望月TEL
日高を気にする望月の電話。陸の苦々しい表情がとても切ない。
・サイコ表情日高
久しぶりにサイコ日高見ましたが高橋さん本当に怪演ですね。
サイコぶる日高のことを考えるとお酒がめちゃめちゃ進みます。
・捜査会議:日高主犯(自供)
感情と感情のぶつかり合いが凄く良い。
誰も納得できなくて解散しない警官たちも凄く良い。
・望月、自供した日高の真意を推し量る
望月のために殺人犯になるか?と聞かれてYESとわかるまでに日高への入れ込みが発生している望月がエモで言葉になりません。
・日高vs河原
捜査報告書の情報をしっかり覚えている日高。スペック高すぎる。
アリバイのある四方についても防犯カメラ対策について考えてある。凄い。
河原の「ありがとうございます~」の『演技』も良い。
・鑑識班、動きます!
望月の発破でエンジンフル稼働になるモビール新田さん。彼、本当に良いキャラしていますよね。めっちゃ好きです。
・陸とSDカード
望月の動きに気づいて彼女を想う陸。彼の変わらない一途さに心が痛みます。
・河原と望月
河原の「やってもないのに」。望月は日高を送致するために河原が動いていると判断しているが、河原は真相に迫りたかったのでしょう。
・河原と五十嵐
河原のメモ見ていたんだけどマジで河原側の捜査ってムリゲー感が凄いんですよね。
入れ替わりという真相を知っていなければ別の情報で補うしかない。
あれから真相に迫れるのはとんでもない執念の結果ですね。
>後で河原の至った真相について考えてみようと思います。
五十嵐「河原先輩」 >えっ なにそれこわい
→河原の企みを察する五十嵐さん。長年の付き合いですね。
「全員纏めて丸裸じゃあ」が一回見た後だと心強いです。初回はハラハラしてました。
・陸とSDカード
彩子ちゃんと以心伝心って喜ぶ陸可愛いかよ………
SDカードって言われた時の陸の反応も面白可愛い。
ここで陸がSDカードを隠匿したのは、日高が「兄を頼みます」と言っていたので彼の罪を被る意志を尊重しようとしたのではないでしょうか。
・月を見上げる日高
悲しそうな優しい表情をして、正義の味方になると言った彩子の事を思い出している。
こんな切ないことってあるかよ…(´・ω・`)
・五木さんと望月TEL
後ろにいる富樫さんめっちゃいいキャラしているんだよなあ。
喋らなくても人間性がよく出ているのが好きです。
「日高くんをよろしくお願いします」と聞いて腹を括る事にした望月。
日高に「証拠は処分した。真実を言って」と話す。
わかりました、という日高の表情が「嘘を言うときの日高」の顔をしているのが切ないです…。
・何かを海に投げる陸
思わせぶり~~~~~~~~
彩子に嘘をついた事が悲しいのでしょうか。
・日高の供述確認
五十嵐さんは偉い人を人払い。たぶん、河原から話を聞いたんですかね。
やっぱり犯行を背負おうとする日高。
それに対し、河原は望月の部屋から証拠を発見した話をする。
それに対して自分が隠したと言う日高、「河原と同じように」とサイコな表情で語る。
>えgggっぐい最高
壁ドン未遂で止める八巻ナイス。
・陸と東と『お父さん』
東の身元引受に日高父登場。
陸はあの場所にいて良かったとその時の話をする中、「俺はどんな殺され方をしていいからこいつだけは守ってくれ」という言葉を思い出し、行動を起こす。
この時の陸の決意の表情が滅茶苦茶イケメンでした。
・東とパンとネットカフェ
東が SDカードの映像を削除したお話し。そして供述確認完了、行き詰まりか。というシーンでどんでん返しが。鹿児島県警から送られてきた証拠映像を見た望月、八巻に取り調べ乱入を指示。
このシーン、映像を見た時の望月さん涙目になっていたんですよね…。どんな気持ちで見たのでしょうか、計り知れないです。
そして乱入止める五十嵐さんこわーい
東の半生を聞かされる日高。
取調室に走る望月さん。
この対比的な映像の切り替えが凄く訴えかけてくるようで素敵でした。
河原の『東の声』演説。揺れる日高。だが「たかが女一人のために」と言われた瞬間、揺らいだ表情が一気に決意に戻る………………そして映る彩子、「待ってろ、日高」
「あの人を守る事は自分を守る事。自分を守るのに理由はいらない」
からの望月到着。「東の犯行を裏付ける証拠が見つかりました」
河原「じゃ、あと頼むわ」
>私のエモはもう駄目です(語彙力)
いやいやいやいやもう日高が本当に日高だし彩子も河原も最高なんですよね…
彩子「お待たせ」
その言葉が聞きたかった。
東がSDカードに上書きした自供映像。
日高は譲らないが、動揺からか言葉に矛盾が出る。日高がここまで明らかな矛盾を自発的に起こすのは初めてでしたね…
そこで彩子の正義の告白。
「あの人を守る事は自分を守る事」という言葉が効きますね。
最後の「はい」までのやりとりの迫力が本当に凄くて…
そして日高のスマホから出てきた損壊した動画。
「好きですって事じゃな~あい~~~?」
今の流れだと確かにそうなるけどモビールwwwwww
陸と望月の再会。
陸は望月にもう一度嘘をついて、駅の向こうのスーパーのナッツがお買い得という話をして、二度と帰ってこなかった。陸の愛のカタチ。
あ~~~一回目気が付かなかったけどここで『ただいま』流れてる~~~~~~しんどい~~~~~~
その後のお話し。
日高の裁判に出てる富樫さんの実刑判決のシーンでのがっくりした反応やっぱり良いんですけど、他の傍聴席の方(モブ)も項垂れているのを見ると日高の人徳を再度痛感させられるの良いですね。
巻き込まれ八巻wwwww
べき論の望月さんは教官合うだろうなああ。
金環日食に興味を持つ望月さん、明らかに日高の影響だし、
九十九に「ナッツ一生食えない」とからかわれたときに「一生でもないですよ」と答える日高さん、なんだか嬉しそうだし。
「空集合だった私たち」が確かに存在していた事を表すシーンと対比させるところもほんとに最高すぎる。
「もう他人なんですって」と何かを察する八巻は確かに優秀だけど一級フラグ建築士すぎん???
・再会
入れ替わりは日高の母の願い、ありがとうと言う日高。
貴方でよかった、と言う彩子。
「さようなら」
光る石、変わる声色。
一瞬で何が起きたか理解させる演技力すげえなあ。
夢があって素敵なエンディングでした。
◆河原の辿り着いた真相とは?
最後に気になるのは、河原がどんな真相に辿り着いて今回の行動に至ったのか。
多分、河原の推理の最終的な着地点は「日高が真犯人ではないと気が付いた望月は真犯人を捕まえたい一心で日高を庇っていたが関わるうちに恋仲になった」とかそんな感じではないかなあと思っています。その以前は「恋仲である日高が疑われたので犯行を隠蔽しようとしている」という目のつけ方だったのではないかと。
故に、最終的な河原の行動として「東の犯行を証明しようとしている望月」を自由にさせていたのではないかなと感じています。それを五十嵐さんと共有している状態が送致前の尋問シーン、という見解です。
◆感想まとめ!
前書きにも書きましたが、「入れ替わりエンターテインメント」の名にふさわしい良作だったなと思います。
太陽(表向き)は「日高陽斗という殺人鬼を巡るミステリー」に見せかけた、「日高陽斗という個人を巡るヒューマンドラマ」という満月(真の意味)を持つドラマだったのだな、と感じています。
「天国と地獄~サイコな2人~」の主題も「望月と日高」「日高と東」のダブルミーニングとして非常に面白いものでした。真相がわかると意図が後者にスライドするのも良いですね。
やたらめったら謎を深める伏線が多かったですが、宣伝している時の出演者はたぶん「ミステリー」の言葉を使っていなかったと思われるので、「ミステリーだと視聴者に思い込ませる」のは完全に仕組みとして意図されていたのでしょう。そして「ミステリーだとは一度も言っていない」という逃げ道も、同時に用意したのでしょう。これは周到ですね。こういうの私は好きですよ。
視聴者を思い込ませるためだけに無数の情報として意味のある伏線を用意しておきながら、かつ、真相として用意されたシンプルなシナリオに一切の矛盾なく押し通せたのは脚本を作成した方の相当な技量を感じます。
(日高の誕生日記載ミスや電話の持ち間違い、場合によっては※十和田の死亡推定時期などミスも多かったのですがこればっかりは物語を作成する以上多少出るのは仕方ないかなあと思うタイプです)※続編で一ノ瀬関連をやる場合に限り、これはミスではない事にできる。やはり警察が気付かなかった点は謎なのだが。
久しぶりにドラマを見たのと、噂の「森下脚本」がどういうものかを知らない状態で拝見していたのですが、この結末まで見届けたら「森下脚本」という言葉の意味を知れたような気がします。
人間みを自然に描くことに非常に長けた、素晴らしい脚本の方なのですね。
今作がとても素敵な物語だと感じた私はこの方の脚本傾向が気になるので、次は白夜行辺りを見てみようかなあと思います。
あっ、でもその前に、「思わせぶり伏線」がまあまああまりにも多すぎたので、これの「誘導的な理由」「物語的な理由」の2側面から見た一覧リストを作ろうと思ってます。私は底意地が悪いのでタダでは転びませんよ( ・´ー・`)
◆で、続編はありそうなの?
正直、『天国と地獄~サイコな2人~』の最終回を見て続編があるかという疑問については
「続編を作る事自体は難しくないが、シナリオ的には続編がない物語」
であると感じています。各論拠については
・続編があると思う論拠
1.視聴率が高水準で話題性にも長けており、このまま手放すにはあまりにも惜しいコンテンツである。(※映画化した『奥様は取り扱い注意』よりかなり高水準)(この映画、良かったので見てない人にはオススメしておきます)
2.東が「漫画を描いた奴は見つからなかった」と言っており、一ノ瀬殺害周りがあまりにも浮いている(※資料を見る限り十和田は犯行前に死んでいる→続編がないならただのミス。続編がないなら十和田が漫画の作成者で物語にほぼ関連しなかった)
3.望月の生い立ちの情報が「警官になった理由」以外一切開示されていない(※続編で描くため?と感じた)(→続編がないのであれば、天国と地獄は日高と東の物語だったので彼ら以外の人物の生い立ちは不要情報として全て意図して描かれなかったとも取れる)
4.2~3の考察は全部捨てて望月×日高のラブコメで続編やってくれても私は喜ぶ。
5.私の盛大な願望。
・続編がないかも、と思う論拠
1.物語があまりにも綺麗に終わっている。(事件の大筋は回収された。一ノ瀬も被疑者死亡で解決されている。また、想像の余地を残しながらも二人の未来を感じさせるエンディングは、他の物語の介在の余地がないようにも見える)
2.「日高陽斗(≒高橋一生さん)」がキーキャラクターとして使えない。(今作はある種、高橋さんの怪演ありきな作品でもあった。次回作があったとしても、日高は秘匿情報を持つものとして使い難い(描き切られた)キャラクターであるので重要人物にするのは難しい。=物語の重要人物には彼以外のキャラを当てるしかない)
3.「入れ替わり」の発生源から考えて、次の重要ファクターとして構成し難い。(今回の入れ替わりは2名間でのみ発生しており、かつ理由は「誰かの愛」と推定される。新しく天国と地獄を描くとして、同じ理由で入れ替わりを用いる事は困難ではないか?)
→1および3の「愛がある物語としての脚本、構成、終わり方が完結している」という部分が続編を製作される前提として考えるためにはかなり無茶があるような気がするんですよね。今回は全て日高と東の愛ありきでしたし、私が「あるかも」で出した2と3で愛のある物語を描くのって難しそうだなあと思うし、「日高が重要人物でない天国と地獄」「次の入れ替わりの理由」の2点ってどう準備するのか想像がつかないです。
ということで、今回の『天国と地獄』の売っていた方向性から考える続編って考えると正当なシナリオを立てるのがかなり難しいんじゃないかなあと思っているところです。
あ、でも日高と望月をそのまま使うのであれば望月の方を重要人物にして日高の方が探偵になるなら成立しますね。これ。あ、いいなそれ(妄想が捗る)
そしてラブコメで続編作ってきたら制作陣わかってる~愛してる~ほんますこ~ってなる感じですね。
とにかく私は続編が欲しいです。続編下さい。お願いします。お金なら払う。
◆あとがき
ということでざっくり最終回を見た感想でした。
何度見返しても楽しいし、本当に私はこの作品が大好きでした。
大好きなのでブラフの理由と目的も考察します(ガンギマリ目)
もう少しお付き合いください( ・´ー・`)
本当に素敵な作品を、ありがとうございました。